小説『下町ロケット』と、ドラマ『下町ロケット』(ロケット編)

小説『下町ロケット』と、ドラマ『下町ロケット』(ロケット編)

『下町ロケット』を読みました。ドラマの『下町ロケット』は現在放送中ですが、その原作です。著者は直木賞作家の池井戸潤さんです。

小説『下町ロケット』には、続編の『下町ロケット2ガウディ計画』がありますが、ドラマでは、前半をロケット編、後半をガウディ計画編として、この2つが繋がった形で放送されているようです。

今回は、小説『下町ロケット』を読んでみて感じた、ドラマとの違いについて書きたいと思います。

※後半のガウディ計画編については、下記の投稿をご覧ください
(更新)小説『下町ロケット』と、ドラマ『下町ロケット』(ガウディ計画編)

なお、続編のガウディ計画の方は読んでいないので、それを読むと感想が少し変わってくるかもしれませんが、それについては、また書きたいと思います。

 

帝国重工の登場人物のキャラがちょっと違う

ロケット編のメインは、佃製作所の開発したバルブシステムをめぐる、帝国重工との争いにあると思います。

その帝国重工の主要メンバは、財前部長(吉川晃司)、藤間社長(杉良太郎)、開発責任者の富山、水原本部長です。それぞれが独特のキャラを出していますが、小説とドラマではちょっと違っていました。

財前部長がネチネチしている

財前部長は、ドラマでは、完全に正義の味方という感じでした。小説でも正義の味方ではありましたが、少しネチネチした部分も垣間見せていました。
小説では、バルブシステムにおいて佃製作所に先を越されたのが、富山の責任であることを財前が詰るシーンが何度か出てきます。
確かに帝国重工としては、最大の失敗ではありますが、佃製作所が特許の再申請をしたことが原因なので、すべて彼の責任するのは、酷な気もします。
そのこともあってか、小説では、財前と富山の確執に関する記述が多くあったように思います。

水原本部長は、そんなに嫌な感じではない

ドラマでは、水原部長がすごく嫌な感じに描かれていたように思います。それはドラマでは表情や、しゃべり方で、そういう印象を持ったのかもしれないですが、小説では、そういう記述がなかったと思います。

確かに、佃製作所のバルブシステムのテストを、財前を外して、富山を責任者に据え、テストがうまくいかないように指示したのは、小説にも描かれているので、悪者ではあると思います。

藤間社長は、割とあっさりしていた

小説でも、藤間社長が、ロケットのキーデバイスを100%内製化する方針を持っていることは描かれていますが、ドラマの方では、そこをより強調していたように思います。そのためドラマでの登場頻度は、小説に比べて多かったと思います。

大きく違ったのが、財前が藤間社長に佃製作所のバルブシステムの使用の承認を得るための会議のシーンでした。
ドラマでは、藤間社長は、最初は「ありえない」と言い、席を立ち、藤間社長の信念がかなり大きいことを感じさせました。最終的には、財前の説得により、認めますが、小説では、割とあっさりと認めていました。

 

ボーリングのシーン、塩大福が小説では出てこない

ドラマでは、何度か唐突に、ボーリングのシーンが出てきました。佃社長が、一人で物理の法則をブツブツ言いながら、玉を投げるシーンです。小説では一切出てきません。これは、なんの意図があったのか、よくわかりませんが、ドラマでは、こういう場面を挟むのが視聴率に良いのでしょうか。

あと、ドラマでは佃が社員と塩大福を食べるシーンも何度かありましたが、唐突で違和感がありました。小説では塩大福は出てきませんが、こちらは、ローソンとのタイアップがあったようです。

 

娘の登場回数が少ない

ドラマでは、佃航平の娘が、よく登場していましたが、小説ではあまり登場しません。
ドラマでは重要な場面で出てきます。
帝国重工での燃焼実験で、最初に失敗した後の検証を行うシーンがありましたが、最終的に、佃がバルブシステムを見直してみたことで、フィルターに問題があることがわかりましたが、バルブシステムを見直すきっかけは、娘が佃にかけた言葉だったと思います。小説では、特にきっかけもなく、佃自身の思いつきでした。

 

何故、慶應の理工

ロケット編の最後に、種子島で佃製作所のバルブシステムを搭載した帝国重工のロケットが打ち上げに成功するシーンがあります。

佃製作所の社員や、佃の母と娘も、打ち上げの見物に集まります。打ち上げが成功した後、娘と佃のシーンがあります。
ドラマでは娘が佃に「わたしもロケット作りたい。本気で慶應理工目指す。」って言いますが、小説では、娘が花束を渡すだけで、特にセリフはありませんでした。

私はドラマを見ていて、なんで慶應の理工?っていう違和感を感じました。これについては、ネットでも話題になっているみたいです。「下町ロケット、慶應、理工」で検索するといろいろヒットすると思います。
ネットによると、慶應には、航空宇宙工学科がないので、他の大学に行った方がいいよ、ということのようです。

 

まとめ

ドラマ『下町ロケット』は、以前、高視聴率をとった『半沢直樹』と、原作者も同じ、スタッフも同じということで、高視聴率をとる方法に長けているのでしょう。善悪をくっきりさせたり、ストーリーに関係ないボーリングのシーンを入れたりするのも、その手法なのかもしれません。

まだ、ドラマは続いていますし、私も、続編の『下町ロケット2ガウディ計画』を読んでいませんので、そちらを読んでから、また感想を書きたいと思います。

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